一括払い保険が企業財務に与える影響~二つの指標で読み解く経営防衛~(前編)ーたった3分で読める【法人保険提案】HELLO通信

「保険募集人の仕事は何か?」と問われたら皆様であればどのように回答しますか。
以前の記事にも書きましたが、保険募集人の仕事は「保険を販売すること」ではありません。
保険は単なる手段に過ぎず、保険募集人が真に果たすべき役割は、顧客である企業や経営者のリスクマネジメントを支援することにあります。
リスクマネジメントとは、「企業が直面する多様なリスクを特定し、それらが事業に及ぼす影響を評価したうえで、適切な対策を講じる一連のプロセス」を指し、その目的は、リスクによる損失を最小限に抑えつつ、経営の安定性や事業の継続性を確保することにあります。
一方で保険募集人である前に「金融人」として、顧客の財務状況を理解することが保険提案の前に必要なことです。
「支払保険料を見誤った」ことにより早期解約になった事例や、「保障額を見誤った」ことにより、社長が死亡した後のキャッシュフローが急激に悪化して倒産してしまった事例も私はたくさん見てきました。
財務状況を理解せずして、正しい保障額や支払能力を判断することはできません。
保障額は借入残高や株価などから算出し、保険料の“払える範囲”はキャッシュフロー、流動比率・現預金販管費比率などの財務指標を総合的に見て初めて見極めることができます。
▶一時払い保険をお預かりした時のBSの変化
相続対策や役員退職金準備を目的に、一時払い型の生命保険を活用する企業が増えています。
まとまった保険料を預かれるという点で保険募集人にとって魅力的な商品ですが、一時払い保険が顧客のバランスシートに大きく影響を与えることを忘れてはいけません。
具体的には現預金が固定資産の「保険積立金」へ振り替わり、流動性を示す指標が軒並み低下します。
今回のテーマでは、一時払い商品の契約前に必ず押さえたい二つの安全性指標の定義と目標水準、さらに実際のケーススタディを通じて、顧客の財務を守りつつ提案する方法について解説します。
▶流動比率──短期的な資金繰り余力を表す指標
流動比率は〈流動資産÷流動負債×100〉で算出し、1年以内に現金化できる資産で同期間に支払う負債をどれだけ賄えるかを示します。
100%を下回れば短期資金ショートの危険信号で、銀行融資も急速に引き締まります。
200%以上が望ましい水準とされ、優良企業は250%前後を維持しています。
保険料を一括で支払うと流動資産の核である現預金が減るため、流動比率は急速に悪化します。
金融機関が企業を評価する「信用格付」においても最重要な財務指標であるため、保険募集人の方は絶対に覚えておいてもらいたい指標です。
次回は『一括払い保険が企業財務に与える影響~二つの指標で読み解く経営防衛~(後半)』にて、「現預金販管費比率」と「2つの指標から保険料の上限を設定すること」についてお届けします。
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