保険募集人の皆様にとって、別表7「欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書」は非常に重要な資料です。
この明細書は、法人税の申告に際して、欠損金や災害による損失を損金として計上する際に必要となります。
今回は、この明細書の基本的な内容とその重要性についてお伝えします。
別表7とは?
法人税申告書別表7は、「欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書」として、欠損金の繰越控除を行う際に必要な書類です。
欠損金とは、収入から経費を引いた際に生じるマイナスの金額であり、「赤字」とも呼ばれます。
別表7を見れば現在の欠損金の金額を把握する事が出来ます。
そもそも「欠損金」とは?
法人税法第2条第19項では、欠損金を「各事業年度の所得金額の計算において、その年度の損金がその年度の益金を超える場合に、その超過部分」と定義しています。
要するに、欠損金とは税法上の赤字であり、「益金-損金」の計算結果がマイナスとなった場合の金額を指します。
欠損金と会計上の赤字の違い
会計上は利益や費用として計上できても、税法上では益金や損金として計上できない場合があります。そのため、欠損金と会計上の赤字の金額は必ずしも一致しません。
例えば、損金不算入項目(後で説明します)が100万円ある場合、会計上の赤字よりも欠損金の赤字は100万円少なくなります。
そのため、確定申告の際には、会計上の赤字をそのまま計上せずに、税法に基づいて再度損益を計算する必要があります。
損金不算入とは?
損金不算入とは、法人税の計算において、会社の経費として認められない費用のことを指します。
会計上は経費として計上できる項目であっても、税法上では損金(税務上の経費)として認められないため、課税所得の計算においては除外されます。
損金不算入の具体例
以下に、代表的な損金不算入の項目をいくつか挙げます。
役員報酬の過大部分: 役員報酬が過度に高額であると判断された場合、その過大部分は損金として認められません。これは、適正な報酬を超える部分が法人税の計算において損金不算入となるためです。
交際費の一部: 法人が支出する交際費のうち、一定の限度を超える部分は損金不算入となります。交際費には飲食費や贈答品費用などが含まれますが、全額を損金として認めるのではなく、一部を税務上の経費から除外します。
罰金や過料: 罰金や過料、違約金などは損金として認められません。これらの支出は企業の不法行為や規約違反に起因するものであり、税務上の経費として認められないためです。
寄附金の一部: 法人が支出する寄附金についても、一定の限度額を超える部分は損金不算入となります。寄附金には企業の社会貢献活動などが含まれますが、税法上ではその一部が経費として認められない場合があります。
損金不算入項目が存在する場合、会計上の利益と税務上の利益に差異が生じます。
具体的には、損金不算入項目の金額が加算されることで、税務上の課税所得が増加し、その結果として法人税の負担も増えることになります。
例えば、会計上の利益が100万円であっても、損金不算入項目が20万円ある場合、税務上の課税所得は120万円となります。このように、損金不算入は税務分野において重要な要素となります。
次回は『法人に保険を提案する際の別表7「欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書」について(後半)』にて、「欠損金は10年繰越ができる」「欠損金の繰越控除の適用条件」「繰越欠損の具体例」「保険募集人にとって「別表7」を把握しておくべき理由」についてお届けします。
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