今回は【経営者の「手取り」に着目した役員退職金の提案について】です。
▼経営者は手取りを増やしたい
中小企業経営者の方100人に「手取り増やしたいですか?」と聞けば、よほどの変わった方でない限り、「増やしたい」と回答されるでしょう。
つまり「手取りを増やす」というキーワードは中小企業経営者に関心を持ってもらいやすいという事です。
私も一人の経営者ですが、もちろん関心があります。
「手取り」というと、社会保険料や税金などを差し引いた個人に振り込まれる金額をイメージされるかもしれませんが、法人経営者にとっては、経営者個人の「手取り」と法人の「手取り」を最大化する必要があるわけです。
本日の記事では経営者個人の「手取り」を話しますが、上記の前提を経営者の方に伝えておく必要があります。
▼年間役員報酬1500万円の場合、実際の手取りはどのくらいになるのか
年間役員報酬1500万円の経営者の手取りはいくらになるでしょうか。
社会保険料が約144万円、所得税・住民税が約323万円かかりますので、合計で467万円のコストが掛かります。
つまり経営者の方に残る手取りは1500万円-467万円=約1033万円となります。
サラリーマンの方であれば、これで良いのですが法人経営者の場合は違います。
その理由は「法人で社会保険を支払う必要があるから」です。
社会保険料の支払いは労使折半ですので、上記の例だと法人も約144万円のコストが発生するわけです。
つまり467万円+144万円=約611万円のコストがかかるわけです。
法人から個人にお金を動かす「だ」「け」でこんなに「コスト」がかかるのです。
もちろん公的サービスを受けているわけですから、払わないなんて事は出来ませんが、もう少し何とかならないかなと思うのが経営者の(私も)本音かと思います。
▼給与所得と退職所得の違い
保険営業をされている方であればご存じだと思いますが、退職所得に関する税制優遇措置は、以下の3点に大きく分けられます。
① 退職所得控除:給与所得控除よりも圧倒的に優遇
退職所得控除は、退職金に対して適用される控除であり、給与所得控除と比較して優遇された制度です。
退職所得控除の目的は、長年にわたる勤務に対する報酬としての退職金の性質を考慮し、その一部を非課税とすることにあります。
この控除額は、退職金の総額と勤続年数に基づいて計算されます。
具体的には、勤続年数に応じて設定された一定の基準額から、退職金に対して控除が行われるため、実質的に課税される退職金の金額が減少し、税負担が軽減されます。
② 2分の1課税:計算方法
2分の1課税は、退職所得控除後の金額に対して適用される特別な税率です。
具体的には、「(源泉徴収前の収入金額 – 退職所得控除額)× 1/2」という計算式により、課税対象となる金額を半分に減少させることができます。
この制度により、退職所得に対する実質的な税率が低下し、退職者の税負担が軽減されます。
この制度は、退職所得にのみ適用される特例であり、退職金を受け取る多くの人にとって有利な税制措置となっています。
③ 分離課税:税額算出の独立性
分離課税とは、退職所得を総合課税の対象とせず、独立した課税対象として扱う制度です。
これにより、退職所得は他の所得(給与所得や事業所得など)と合算されずに、退職所得のみで税額が算出されます。
分離課税のメリットは、退職所得が他の所得によって税率が上昇することを防ぎ、退職所得に対する税負担を明確にしやすくする点にあります。
また、退職所得に適用される税率は、通常、比較的低めに設定されているため、税負担の軽減につながります。
次回は『経営者の「手取り」に着目した役員退職金の提案について(後半)』にて、残りの2つのポイントをお届けします。
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