「中小企業の経営者に万一の事があった時に会社をどうするのか」をヒアリングする事が事業保障対策のご提案にあたっては、重要です。
以前の記事でも書いた通り、会社の方向性によって準備すべき資金が異なってくる為です。
今までの記事では「事業継続」する場合について書いてきましたが、今月は「事業清算」についてです。
日本政策金融公庫の「中小企業の事業承継に関するインターネット調査(2023年調査)」でこんなデータが出ております。
“中小企業のうち後継者が決定している企業は10.5%にとどまり、57.4%の企業が廃業を予定”
有効回答数が4000を超えていたので、統計サンプルとして信頼性が高く日本の中小企業の傾向を表していると思います。
つまり経営者に万一の事があった場合に、事業清算を予定している企業は多く存在するという事ですから、事業清算時の場合の生命保険の提案頻度は多くなるはずです。
この記事を書いている私の会社も、経営者である「私」に万一の事があった場合は現状では「事業清算」を選択します。
(事業継続が出来るように後継者の育成は行っていきます)
ちなみに弊社では【2年間分の給与】を会社清算時に従業員さんに支払う事ができるように、生命保険を用いて資金準備しており、従業員にも明示をしています。
しかし事業を承継できる人間が育ち、私に万一の事があった際に事業承継をする場合は、この資金は不要となります。
事業清算時に必要な資金は以下の4点です。
借入金返済資金と死亡退職金については以前の記事でも書いておりますので、簡潔に記しておきます。
▼借入金返済資金
事業継続時には「借入金を残す」という選択肢も考えられますが、事業清算の場合は借入金を完済する必要があります。
団体信用生命保険の加入有無については事前に確認しておきましょう。
▼死亡退職金
会社から「経営者のご家族」に支払われる資金です。
これについては既に個人で加入しているケースもありますので、重複して保障を準備しないように注意しておくことが必要です。
▼従業員の転職準備資金
事業清算という選択肢=今まで働いていた従業員全員が一気に職を失うという事を意味します。
もちろん従業員には家族がいるケースもありますので、その場合は家族まで大きな影響を与えます。
規模の大小に関わらず、1人でも従業員を雇用している企業であれば責任がありますので、資金準備が必要です。
資金の考え方については、従業員の給与手当の6か月~1年間が妥当です。
(この期間に転職活動をしてもらうという意味合いがあります)
従業員の退職金まで準備出来ればベストですが、経営者の責任として最低でも転職準備資金は用意しておく必要があります。
▼事業清算までの運転資金
経営者に万一の事があった際の事業清算については、一筋縄ではいかない事が大半です。
煩雑な手続きが必要になり、長期化する可能性もあるため運転資金の3か月分~6か月分は準備しておくことが必要です。
以上が事業清算に必要な資金ですが、事業清算時にはもう一つ考えなければならない事があります。
それは「取崩可能資産の算出」です。
次回は「取崩可能資産の算出」について考えていきましょう。
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