先月から「福利厚生資金」について記しておりますが、福利厚生資金の準備とは、従業員に対しての生命保険を活用して退職金や万一の事があった時に弔慰金の準備をする事です。
福利厚生のニーズは年々高まってきており、大企業だけではなく中小零細企業であっても福利厚生の準備をする事は必須となってきました。
この背景には採用において「福利厚生が充実している会社に入社したい」という求職者が増えてきていることが挙げられます。
つまり採用活動をしている会社にとっては「福利厚生の準備」が必須になってきているという事です。
前回は、「福利厚生の定義を再確認」「福利厚生資金を社外で準備する」「福利厚生資金を社内で準備する」「「生命保険」ありきの提案をしない」ということについて解説しました。
今回は残り2つのポイントを説明していきます。
▶社内準備と社外準備の功罪
では最も中小企業で取り入れられている「中退共(=社内準備)」と「生命保険(=社外準備)」のメリット・デメリットを確認していきましょう。
(あくまで経営者視点でのメリット・デメリットであり、従業員視点ではありません)社内準備の一つである「中退共」については、
①国からの一定の補助があること
②全額損金になる等のメリットがありますが、仮に従業員が懲戒解雇などの事由で退職した場合でも、従業員に支払われてしまうデメリットがあります。
一方で社外準備の1つである「生命保険」については、
①従業員の死亡時にも対応できること(生命保険なので)
②受取人を法人にしておくことで、保険解約時に法人に支払われるので、支払い金額などは会社の裁量にできることが挙げられます。
(つまり懲戒解雇などの事由で退職した場合には退職金を支払わない事もできるという事です)
しかし、従業員が早期退職した際には元本割れしてしまうケース(これについては後ほど詳しく述べます)や、損金性については条件を満たしても2分の1しか損金にする事は出来ません。
▶福利厚生の目的を忘れない事
福利厚生資金をご提案した経営者に
「生命保険で準備するメリットも感じているが、従業員が早期退職した場合に元本割れしてしまうので、生命保険以外で準備する事を検討します」
と言われた場合、皆様ならどういう回答をされるでしょうか。
実際に福利厚生資金を提案する際に、経営者の方からよく耳にする事です。
よくある保険募集人の方の回答は「入社3年以上の従業員の方を対象にすることでリスクを軽減できます」といったものです。
確かに入社3年以内の離職率は一般的に高いと言われますので、この回答が間違っているわけではありませんが、福利厚生の目的を確認する事が最も大切です。
もともと福利厚生を導入する目的は前述したように
「①従業員やその家族が健康で安定してより良い生活を送れるようにすること」
「②従業員が働きやすい労働環境を整備して一人一人の持つ能力を存分に発揮してもらうこと」で、安心して長く働いてもらう事です。
「従業員が早期退職しない」ように福利厚生を導入するわけですから、「生命保険で準備するメリットも感じているが、従業員が早期退職した場合に元本割れしてしまうので、生命保険以外で準備する事を検討します」という事は本末転倒なわけですね。
福利厚生の目的をしっかり経営者に理解してもらう事に努めましょう。
次回は【役員退職金の提案について】2回に分けてお送りします。楽しみにしていてください!
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