2026年は「保障回帰元年」。
そんな年になると私は考えています。
もともと生命保険の目的は「保障」であり、そもそも「保障回帰」という表現自体がおかしいのかもしれませんが、本来の生命保険の目的であり、今後そうなってほしいという想いを込めて2026年は「保障回帰元年」と私は呼んでいます。
保険業界における2025年は「2025年問題」と呼ばれる過去に契約された全損保険のピークが一気にやってくる年です。
以前の記事でも記しましたが、2025年問題の本質は「益金をどうするか?」ではなく「全損保険の解約による保障空白の可能性」です。
もともと「節税(税の繰延)」を目的として加入した生命保険ですから、経営者の頭の中に「保障」という概念がない(もしくは少ない)場合が多いです。
ですから保険募集人の方は、このタイミングで「保障の重要性」を伝える責務があります。
そして今回の記事では少し早いかもしれませんが、「2026年の保険業界」はどうなっていくのか・そしてどのように立ち振る舞うべきなのかについて【3つの視点】から触れていきます。
▶1つ目の視点~ソルベンシー・マージン比率の考え方が変わる~
保険業界で働く方々であれば、「ソルベンシー・マージン比率」という指標はご存知でしょうか。
保険会社のホームページを見れば、必ずこの指標は掲載されており、保険会社が 「想定外」の事態(大災害・市場暴落など) に遭っても、保険金を払えるだけの “余裕のお金” を持っているかを示す安全率を示します。
保険会社の根幹指標であるソルベンシー・マージン比率が、2025年度決算から経済価値ベース指標(以下ESR)へ姿を変え、帳簿価格と固定係数で“余裕度”を測ってきた旧方式は、株価や金利のリアルタイム変動を織り込む新方式となり、各社の資本政策と商品構成に変動をもたらす見通し。
つまり“もし市場が荒れたとき、この会社はどれだけ追加でお金を積んでおけば安心か”を指標に加えるという事です。
新しい ESR は資産も負債も時価評価。
市場が荒れればリスク量は即座に膨らみます。
つまり長期利回りを約束する貯蓄性保険を多く抱える会社ほど比率が低下する公算が大きいという事を意味します。
そして同時に保障型商品(定期保険や医療保険、就業不能保険など)は先述のリスクが小さいため、同じ売上でも会社の資本効率を改善しやすい。
販売重点がこちらへ移るということです。
次回は『2026年は「保障回帰元年」~3つの視点から考える~(後半)』にて、「残り2つの視点と3つの視点全てに共通するキーワード」についてお届けします。
楽しみにしていてください!