保険提案において誰がどのような割合で株式を所有しているのかという事を把握する事が大切であることは以前の記事でお伝えしましたが、今月は自社株(いわゆる金庫株)に関する知識についてお伝えします。
自社株の保有は、事業承継において極めて重要な役割を果たします。自社株を保有することで、株主構成の安定化や株式の希薄化防止、さらには後継者問題への対応など、さまざまなメリットがあります。
しかし、その一方で税務上の取り扱いや適切な評価方法など、注意すべき点も多く存在します。
この記事では、これらのポイントを具体的に解説し、保険提案における有効な活用方法についてご紹介します。
▼株主総会で会社の重要事項を決定する
企業で何か重要な事項を決定する際は、株主総会を実施します。
株主総会では事案に対する議決権を持つ人が賛成・反対の票を投じますが、票の数は1人1票ではなく、保有比率によって決まります。
1単元株に対して1つの議決権があるのが一般的ですので、株式所有割合が多い方は重要な決定への関与割合が大きくなります。
重要な事項を決定する際には、普通決議もしくは特別決議が行われることが通常です。
普通決議と特別決議は、会社法において株式会社の株主総会での決議方法として定められており、決議の種類によって必要とされる承認条件が異なります。
▼自社株とは
金庫株とは、自分が所有している株式をその会社に買い取ってもらうことです。
会社が自分の株式を保有することで、「株式を会社の金庫に入れる」という意味で金庫株と呼ばれています。
金庫株は、平成18年5月施行の会社法において認められた、株主総会の決議を持って自社株を株主から買い取った「自己株式」の事です。
自社株を買取りすると会社法上、買取りした株式については議決権が消滅します。
自己株式は、貸借対照表の純資産の部に表示され、純資産から控除される項目として扱われるため、通常はマイナスの金額として表示されます。
これは、会社が自己株式を取得することで、株主に分配される資産が減少したことを反映しています。
次回は『自社株(金庫株)についての知識(後半)』にて、「生前金庫株のメリット/デメリット」「相続金庫株のメリット/デメリット」「分配可能額の範囲内での買い取りが必須(会社法第461条)」「保険提案の実務でどのように金庫株が関係するのか」についてお届けします。
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