事業保障対策において、「借入金」は大きなテーマとなります。
金額も大きくなることが多いですし、後継者にとって連帯保証債務の問題は家族も巻き込む話になりますので、慎重に取り扱う必要があります。
以前の記事に書きましたが、事業保障対策をご提案するにあたって【会社の方向性】をヒアリングする必要があります。
事業を継続する場合と事業を清算する場合では、必要な資金が異なってくる為です。
ただし【借入金清算資金】については両者ともに共通です。
5つのポイントがありますので、この記事では最初の3つのポイントを解説していきます。
▼①事業継続の場合は、「親族内承継」か「親族外承継」かによって取り扱いが異なる
「親族内承継」をするのか・「親族外承継」をするのかによって考え方が異なります。
親族外承継の場合は血縁関係のない第三者が連帯保証債務を引き継ぐことになる為、経営者の死亡時に借入を完済する事が望ましいです。
一方で親族内承継の場合は借入を完済しない事もあります。
例えば「借入を完済する事で金融機関との関係性が薄くなるので、借入は残しておきたい」といったニーズがある場合もありますので、丁寧なヒアリングが必要です。
▼②役員借入金の確認が必要
経営者から会社に資金を貸し出していることがあり、それを「役員借入金」と呼びます。
(社長借入金表現されることもあります)決算書には「長期借入金」と表現されることが多く、金融機関からの借入と区別がつかないことがあるので、勘定科目内訳書を確認する必要があります。
役員借入金は社長が貸し付けているお金ですから、社長にとっては債権、つまり相続財産となる為、相続対策が必要となります。
現預金や不動産を相続する場合は、相続した現預金や不動産を売却(もしくは担保に入れてお金を借りて)して、相続税を納税する事ができますが、役員借入金の場合は会社に資金が不足している環境下で貸し付けることが多いため、相続しても資金化できないことが大半です。
その為、生命保険を使って「借入金清算資金」もしくは「納税資金」を準備する必要があります。
▼③団体信用生命保険の加入有無を確認
団体信用生命保険は、住宅ローンの際は一般的ですが、事業融資に関しても金融機関から提案される事があります。
団体信用生命保険に加入している場合は、経営者の死亡時に借入残高が0になりますので、その場合は「借入返済に必要な資金」は不要です。
団体信用生命保険の場合は、強制的に借入が0となりますが、皆様がご提案される生命保険の場合は「返済するかどうかはその時に判断する」ことが出来ますので、柔軟な対応を取ることが出来ます。
(例えば設備資金に充てるという選択をする場合も考えられます)
次回、『事業保障に関する借入金の対応について(後半)』にて、残りの2つのポイントをお届けします。
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