2025年を目前に控え、多くの法人が「全損保険の解約」をどのように進めるべきかという課題に直面しています。
全損保険は、契約者の年齢や契約内容により差はあるものの、解約返戻金が2025年をピークに減少していく商品が一般的です。
このため、経営者にとって保険の解約は避けられない決断となり、その後の出口戦略がますます重要視されています。
▶保険解約に伴う法人税負担とその回避策
解約返戻金が益金として計上されることで、法人税負担が増加する点が、経営者にとって大きな懸念事項です。
本来であれば出口戦略として役員退職金を支給する事で、こうした負担を軽減することが可能です。
たとえば、1億円の解約返戻金が発生した場合、同額を退職金として支払えば、益金と損金が相殺され、法人税の発生を抑えることができます。
この方法は、会社にとって節税効果をもたらすと同時に、社長個人が退職金を手にすることが可能です。
しかし本来は退職という経営上の重要な決断を伴うため、事前の計画や後継者育成の進捗状況などを考慮した慎重な判断が必要ですが、残念ながら全損保険提案時に、経営者の退職を踏まえて提案されていた生命保険は多くはありません。
▶短期的な対策の限界と長期的な出口戦略の必要性
解約返戻金を節税目的で他の投資商品に充当し、税負担の繰り延べを図る手法も一部では推奨されています。
例えば、オペレーティングリースなどを利用する方法です。
しかし、こうした短期的な対策は一時的に利益を圧縮するにすぎず、将来的に新たな負債を積み上げ、財務内容が悪化するリスクがあります。
このような対策は、長期的な経営の安定性や金融機関からの評価に悪影響を及ぼす可能性が高いです。
持続可能な出口戦略を構築するには、単なる課税の繰り延べに終わらない方法を選択し、キャッシュフローや財務健全性を向上させることが不可欠です。
全損保険の解約は、単なる財務上の問題解決にとどまらず、企業の成長を支える重要な経営戦略の一環として捉えられるべきです。
次回は『経営者の手取りを高めるために出来る2つの施策(後半)』にて、借り上げ社宅規程についてお届けします。
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